文献詳細
シンポジウム 精神障害治療の新展開
覚せい剤依存治療に向けた新展開
著者: 池田和隆1 山本秀子1 高松幸雄1 原口彩子1 梅野充2 妹尾栄一3
所属機関: 1財団法人東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所・分子精神医学研究部門 2東京都立松沢病院 3財団法人東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所・嗜癖行動研究部門
ページ範囲:P.893 - P.898
文献概要
本稿では,まず覚せい剤乱用の現状とその治療の限界・問題点を説明し,幻覚・妄想などの精神病症状だけでなく依存の根本である渇望感を治療することが重要であることを論じる。次に,渇望感の基礎メカニズムや渇望感抑制薬の可能性に関する研究の進展を紹介する。また,依存患者の状態を正確に把握するためには依存重症度を客観的に評価するシステムが必要であるが,日本ではこのようなシステムの導入や開発が立ち後れていることを述べる。最後に,覚せい剤依存治療に向けた筆者らの研究方針を紹介したい。
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