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研究と報告
社会不安障害に対する薬物療法―古典的対人恐怖,ひきこもりとの関連
著者: 永田利彦1 大嶋淳1 和田彰1 山田恒1 太田吉彦1 山内常生1 池谷俊哉1 切池信夫1
所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
ページ範囲:P.933 - P.939
文献購入ページに移動社会不安障害患者を対象にした,セロトニン選択的再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン,ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の有効性と対人恐怖症確信型(第3群)や「ひきこもり」の既往との関連性の研究は限られている。そこで,後方視的に調査した。対象はSSRIまたはSNRIを「十分量,十分期間」投与され,3か月以上経過を追うことができた71例である。その結果,34例(48%)が「効果あり」であった。「効果あり」群は「効果なし」群と比べて,年齢,発症年齢,確信型(第3群)の率には差がなかったが,週5日以上就労(通学)の率,現在の総合的な機能が高く,過去に「ひきこもり」の既往が少なく,社会不安障害,不安,抑うつ症状の評価尺度得点が有意に低かった。以上の結果から,対人恐怖確信型(第3群)にもSSRIとSNRIの有効性が示唆された。一方,「ひきこもり」に対しては効果が限定的だが,試みる価値はあると考えられた。
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