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文献概要

短報

Perospironeが著効したアスペルガー症候群の1例

著者: 小田切啓1 寺原美保子1 赤松馨1

所属機関: 1宮崎県立富養園

ページ範囲:P.83 - P.86

はじめに

 アスペルガー症候群は広汎性発達障害のサブタイプの1つであり,コミュニケーションの障害が軽微な発達障害である。明らかな言葉の遅れはなく,知的障害も伴わないが自閉症と同様に社会性の障害を持つことから,独特の対人関係や興味の偏重を示し,さまざまな適応障害を引き起こすことも少なくない。またこの一群が青年期になって幻覚や妄想といった統合失調症様症状を生じることもある1,5)。アスペルガー症候群に対してはその理解と対応方法についての心理教育が治療上大きな比重を占め1,5~7),薬物療法については対症療法的に用いているのが現状である1,2,7)。今回筆者らはperospironeが統合失調様症状および認知面に著効した症例を経験したのでここに報告する。

参考文献

1) 浅井朋子,杉山登志郎:アスペルガー症候群の診断と治療.臨精医 31:1047-1055,2002
2) 神尾陽子:高機能広汎性発達障害の診断と治療の実際.精神科治療学 18:227-233,2003
3) 大野行弘:新規抗精神病薬─塩酸perospironeの薬理学的特性.日薬理誌 116:225-231,2001
4) 大野行弘:新たな非定型抗精神病薬セロトニンードパミン拮抗薬(SDA)の薬理学的特性.臨精薬理 5:147-153,2002
5) 杉山登志郎:Asperger症候群と高機能広汎性発達障害.精神医学 44:368-379,2002
6) 杉山登志郎:治療法:広汎性発達障害.精神科治療学 18:85-90,2003
7) 田中康雄,佐藤久夫,高山恵子:アスペルガー症候群の理解と対応.えじそんブックレット,2003

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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