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研究と報告
妄想的確信に満ちた加害感を訴える青年期症例
著者: 石坂好樹1 太田多紀2
所属機関: 1立命館大学産業社会部 2京都桂病院精神科
ページ範囲:P.1069 - P.1076
文献購入ページに移動妄想性障害という範疇には,多様な病態が含まれているが,我々は妄想性障害と診断できるが,今まで報告されたことがないと思われる症例を経験したので,報告した。この症例は,他人に対して,「蹴った」とか「殴った」とか「殺した」といった加害妄想を執拗に訴え,しかもその行為を行っている映像が見え,行った感覚が手や足に残っていると訴えた。そして,この症状はpimozideによって著しく軽減した。
この症例の特異性についての考察に加えて,この症例と他の妄想性障害の異同や今までに報告された「加害妄想」を訴える症例との異同,さらには強迫性障害やトゥーレット障害との関連などについて若干の考察を加えた。
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