文献詳細
特集 電気けいれん療法
電気けいれん療法の適応と実践マニュアル
著者: 粟田主一1 鈴木一正1 高野毅久1 海老名幸雄1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科精神神経学
ページ範囲:P.1191 - P.1200
文献概要
ECTの歴史は,治療手技の修正の歴史でもある。1934年にMedunaは薬理学的けいれん療法によって昏迷状態が4年間持続している統合失調症の治療に成功したが,1938年にCerlettiとBiniは,より確実にけいれんを誘発し,しかも手順が簡単で患者の苦痛も軽減できる方法としてECTを誕生させた。その後の半世紀に,筋弛緩薬と静脈麻酔薬の使用,酸素化,電極配置,生理学的モニタリング,パルス波型治療器,刺激変数の調整など,ECTの安全性を高めるための治療手技の修正が重ねられ,1970年代には修正型ECTを標準とするガイドラインが刊行されるようになった。
わが国では,1980年代以降に,欧米で標準化している修正型ECTが積極的に導入されるようになり,1990年代後半からガイドラインの策定作業が進められるようになった。こうした経緯の中で,筆者らはこれまでに,修正型ECTの臨床成績を蓄積し2,4,5,11~15),国内外の修正型ECTの臨床研究を概観し3,6,10),適応の明確化1,3,6,8)と治療手技の標準化1,7,8)を試みてきた。本稿では,これまでの議論を踏まえ,現代のECTの適応と治療手技に関する推奨事項を要約する。
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