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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻11号

2005年11月発行

特集 電気けいれん療法

電気けいれん療法の有害事象

著者: 日域広昭1 佐々木高伸1

所属機関: 1広島市立広島市民病院精神科

ページ範囲:P.1209 - P.1217

文献概要

はじめに

 修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy;mECT)は筋弛緩薬と静脈麻酔薬との使用下で行う無けいれんのECTである。欧米では1960年代から主流になっていたが,本邦でも1980年代から総合病院精神科を中心に広く行われるようになってきている。麻酔科医の協力を得て全身管理下で行われ,安全性,有効性ともに高く,患者の苦痛も少ない治療法であるというイメージが定着しつつある。かつては無麻酔で行われる有けいれん性のECTが主流であった時代があり,骨折や不整脈などの重篤な有害事象が少なからず合併していた。mECTの導入後はこれらの副作用が明らかに少なくなり,術前評価がより適切になされるようになったことと相まって安全性は向上した。さらに本邦においては2002年に短パルス矩形波の刺激装置が認可された。これまで用いられてきたサイン波の刺激装置に比べ,認知機能などへの影響がより少なく,安全性がさらに向上している3)

 このように,ECTは時代の流れとともに安全性が高くなっているが,有害事象が全くないわけではなく,適用の際には慎重な評価を要する。特に並存する身体疾患や併用中の薬物療法によって,出現し得る有害事象も変わってくるし,絶対的禁忌はないとされているが,ECTによる有害事象の危険性が増す医学的状態として,いくつかの相対的禁忌は存在する。そこで本稿では,ECTに伴う有害事象について,①一般的な有害事象,②身体的合併症に関連した有害事象,③併用する薬物療法に関連した有害事象の3つに分けて,それぞれの有害事象やその予防法,対処法について当科での経験を交えつつ概説する。なお,詳細についてはECT実践ガイド1),ECTマニュアル15)などの成書も参照されたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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