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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻11号

2005年11月発行

文献概要

特集 電気けいれん療法

うつ病患者における電気けいれん療法による脳内変化とその臨床的意義―拡散テンソル画像研究

著者: 延原健二1 奥川学1 南智久1 杉本達哉1 木下利彦1

所属機関: 1関西医科大学精神神経科

ページ範囲:P.1219 - P.1224

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はじめに

 薬物治療抵抗性や薬物療法の適応でない統合失調症やうつ病などの精神疾患に対して,電気けいれん療法(electroconvulsive therapy;ECT)は有効性の高い治療法として知られている。近年では,ECT施行時の骨折,疼痛,恐怖などをなくす目的で,麻酔下のもと筋弛緩処置を施した修正電気けいれん療法が普及しつつある。ECTにより,急速かつ劇的な精神症状の改善が得られるが,このような臨床効果をもたらす脳内作用機序はいまだ明らかにされていない。

 今日までにsingle photon emission tomography(SPECT)やpositron emission tomography(PET)を用いて,ECTが脳血流や脳代謝に及ぼす変化に関する研究が報告されてきた。うつ病患者におけるこれらの脳画像研究では,患者数,診断基準,装置などが統一されていないため,結果は必ずしも一致していないものの前頭葉における血流が低下しているという報告が多く,うつ病の病態は前頭葉の局所脳血流の低下と関連しているという仮説が生じた5,7,23)。うつ病患者におけるECT治療後の変化に関しては,ECT治療前に健常者と比較して高齢うつ病患者でみられていた前頭部の血流低下はECT後2週間から12週間後でも引き続きみられたという報告2)やECTに反応した患者でのみ前頭部の血流低下が改善されたなどの報告22)があり,統一した方向性は見出されていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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