文献詳細
研究と報告
レビー小体型痴呆の合併が疑われる統合失調症の1例
著者: 北林百合之介1 廣澤六映1 濵元泰子1 柴田敬祐1 中前貴1 成本迅1 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学
ページ範囲:P.1291 - P.1296
文献概要
レビー小体型痴呆(DLB)の合併が疑われる高齢の統合失調症の1例を経験した。症例は71歳女性。25歳時に統合失調症を発症。以後,外来通院を継続。71歳時,精神病症状の急性増悪のため入院。過去に有効であったhaloperidolは効果なく,入院後は病状が変化し,認知機能障害,注意や明晰さの著明な変動,軽度のパーキンソニズムなどが前景となった。MRIでは海馬を含む軽度の脳萎縮を,SPECTではDLBに特徴的な後頭葉の血流低下を認めた。塩酸donepezilと少量のrisperidoneの投与により症状は安定した。これまでDLBの合併の可能性が示唆された統合失調症の報告はほとんどなく貴重な症例と考えられた。
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