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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻12号

2005年12月発行

文献概要

研究と報告

鑑別不能型身体表現性障害の臨床特徴と経過について―183症例の検討から

著者: 大塚道人1 塩入俊樹2 桑原秀樹1 小野信1 染矢俊幸2

所属機関: 1新潟大学医歯学総合病院精神科 2新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野

ページ範囲:P.1297 - P.1301

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抄録

 我々は鑑別不能型身体表現性障害(USFD)患者183名を対象に,その臨床特徴および経過を調査した。対象者の平均年齢は42.6歳,男女比は1:1.77,発病時平均年齢は38歳,発病から精神科受診までの平均期間は4.2年であった。合併症に関してはⅠ軸18%,Ⅱ軸8%で,前者は,気分障害,不安障害が,後者は,境界知能,精神遅滞が多かった。臨床経過としては,約6割(58.5%,107名)が通院を中断しており(平均通院期間:9か月),通院により症状が軽快した者(軽快群)は21.9%(40名)で,36名(19.7%)は病状の軽快を認めなかった(非軽快群)。軽快群では,①発病および受診時年齢が若い,②発病から精神科受診までの期間がより短いという特徴が見いだされた。薬物治療別に患者の主観的評価に基づく改善の有無を調べた結果,抗うつ薬が使用された96治療例数では,そうでない39治療例数に比して,改善率が統計学的に有意に高かった。以上より,USFDの中には良好な経過をとる群があること,予後良好群の特徴は,発病時年齢が若く発病から受診までが短期間であること,抗うつ薬による治療反応性が期待できること,が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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