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短報
修正型電気けいれん療法が著効したレビー小体型痴呆の1例
著者: 眞鍋雄太1 乾好貴2 外山宏2 岩田仲生1 片田和廣2 小阪憲司3
所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部精神医学教室 2藤田保健衛生大学医学部放射線医学教室 3横浜市立大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1303 - P.1307
文献購入ページに移動レビー小体型痴呆(Dementia with Lewy Bodies;以下,DLBと略す)は,当初小阪らが「diffuse Lewy body disease;DLBD」という疾患概念として提唱し,1995年の国際ワークショップを経て確立された疾患である9,10)。錐体外路症状(extra pyramidal symptom;以下EPSと略す)や生々しい内容かつ再現性のある幻視体験を伴い,高次機能障害を呈する病態が典型例として周知され,こうした臨床症状からの診断基準が提唱されている。一方,抗Parkinson病薬・抗精神病薬の副作用症状,あるいはParkinson病に伴う痴呆(以下,Parkinson disease with dementia;PDDと略す)と診断される場合もあり1,7,12),実際の臨床現場では混乱が続いている。加えて,臨床症状と病理所見との乖離,ガイドラインにおけるone year ruleの存在10),至的基準とされる画像診断法(補助診断法)が確立されていないことなどが,こうした混乱にいっそうの拍車をかけている要因といえよう。
今回我々は,薬物治療による症状コントロールが不十分であり,精神症状が消退しないprobable DLB1)に対して修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy;以下mECTと略す)を施行し,劇的な症状の改善を得ることができた13,14)。症例の解説とともに,DLBの治療戦略におけるm-ECTの位置づけを中心に,若干の考察を加えて報告する。
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