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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻12号

2005年12月発行

短報

急性一過性の否定精神病が出現したアルコール依存症の1例

著者: 大原一幸1 佐藤典子1

所属機関: 1兵庫医科大学精神神経科

ページ範囲:P.1313 - P.1316

文献概要

はじめに

 否定精神病(folie des négations)とは,耳慣れない言葉であるが酒井ら8)が指摘するように,Cotard3)が1882年の論文において慢性的な否定妄想(病/症候群)から区別する疾患群として挙げているものであり,突然の経過,すなわち突然の発病と終結によって特徴づけられるものである。我々は,アルコール依存症患者の断酒中(断酒後19日)に急性一過性の否定“妄想(délire)”を呈し,否定精神病と考えられる症例を経験した。急性一過性の否定精神病でみられる否定“妄想(délire)”は,慢性状態でみられる否定妄想あるいは否定観念とは異なる側面を呈し,急性錯乱(bouffée délirante)による意識の異常を原因とする知覚・身体感覚の異常な構成として呈示されたものと考えられた。若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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