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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻12号

2005年12月発行

文献概要

シンポジウム 精神医療システムの改革:その理念とエビデンス

日本版ACT(ACT-J)研究事業の成果と今後の展望

著者: 伊藤順一郎1 西尾雅明1 大島巌2 塚田和美3

所属機関: 1国立精神神経センター精神保健研究所 2東京大学大学院 3国立精神神経センター国府台病院

ページ範囲:P.1345 - P.1352

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はじめに

 今,日本の精神医療保健福祉は非常に大きく変わろうとしている。

 変革の要点はいくつかあるが,現場での実務にしぼれば,以下の2つであろう。

 第一は,精神科の急性期治療,あるいは救急医療をシステムとして充実させることである。全国的に,的確な急性期治療を適切な治療環境で短期に行う病床を整備していくことである。

 第二は,退院後の精神科リハビリテーション,在宅医療を含む地域生活支援の整備である。急性期後を,在宅で療養・リハビリテーションができるような,医療・保健・福祉の一体化したシステムを充実させていくことである。

 この2点は,言葉を変えていえば,精神科入院医療の入口と出口の部分を整備するということに他ならない。入口と出口を明確にすることで,精神科入院治療の機能もおのずと明確になる。

 つまり,変革の目標は精神科病床の数を単純に減らすということではない。人的資源を含め,現在ある資源をもっと別の形に変えていくという方向性である。より機能的な利用者に役に立つ精神科医療・保健・福祉のシステムをつくっていく,そういう文脈が重要である。

 包括型地域生活支援プログラム(Assertive Community Treatment;ACT)は,このような文脈の中にあって,前述の第二の点,すなわち在宅医療を含む地域生活支援に最も貢献できるプログラムの一つである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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