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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻2号

2005年02月発行

特集 時代による精神疾患の病像変化

摂食障害

著者: 切池信夫1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学

ページ範囲:P.145 - P.149

文献概要

はじめに

 神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)や神経性過食症(bulimia nervosa;BN)などの摂食障害は,思春期から青年期の女性に好発する。AN発症の心理的要因として,患者の両親をめぐる依存と独立の葛藤や自己同一性の確立をめぐる葛藤が挙げられ,古くから「成熟拒否」や「女性性拒否」が 精神病理の中核に据えられてきた。しかし,この20~30年間における摂食障害患者の著しい増加と相俟って,患者層が前思春期の低年齢層から結婚後や妊娠後の年齢層まで拡がり,さらにはスポーツ選手や男性にも増加し,病因に関してさまざまな仮説が提唱されている。そしてこの状況を反映して,日常臨床においては一部の専門家だけでは対応しきれなくなってきている。このような状況は,1980年代に筆者がANを稀な疾患としてとらえていた頃と比べて隔世の感がある。そこで本稿ではまず摂食障害の疫学,なぜ増加しているのか,臨床像と診断,治療の変遷について概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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