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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻2号

2005年02月発行

文献概要

特集 時代による精神疾患の病像変化

広汎性発達障害

著者: 川崎葉子1 三島卓穂2

所属機関: 1むさしの小児発達クリニック 2弘済学園

ページ範囲:P.165 - P.168

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はじめに

 おそらく,時代で大きく変化したのは,病像ではなく,専門家の視点のほうであろう。見ているのは,同じ自閉〔現在の広汎性発達障がい(pervasive developmental disorders;PDD)〕症の子どもの同じ言動である。なのに,時代が変わり,異なる学説の専門家がみると,万華鏡をみるように異なるものに見えてくる。医学の進歩の足跡を実感するとともに,まだまだ精神医学にあやうさがあるとも思う。

 自閉症の登場は1943年,Kannerが「情緒的接触の自閉的障害」の論文で世に問うたことに始まる9)。もっとも,Kraepelinによって早発痴呆の概念が提唱されてから,小児期に発症する早発痴呆をDe Sanctisが「最早発痴呆」(1906)7)と, Hellerが「幼年痴呆」(1908)8)と報告しているが,これが自閉症の子どもであったとすれば,その歴史は20世紀初頭に遡る。さらに遡ると,18世紀末,医師Itardが教育したアヴェロンの野生児は自閉症であったろうとされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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