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雑誌詳細

文献概要

特集 時代による精神疾患の病像変化

性同一性障害

著者: 阿部輝夫1

所属機関: 1あべメンタルクリニック

ページ範囲:P.173 - P.175

受診者の急増

 2004年11月,インドで第1回アジアパシフィック性科学会(旧アジア性科学会)が開催された。4日間の内容でもジェンダー関連が占める割合は大きかった。印象に残ったのは,Milton Diamond(ハワイ)やRichard Green(イギリス)が,口をそろえて同じことを言っていたことである。「性同一性障害は,自分で診断と治療法を選択できる,唯一の疾患だ」と。

 性同一性障害(gender identity disorder:以下,GIDと略)をめぐる医学的,社会的状況はここ数年で大きく変化した。図で見るように,外来統計を取り始めた1984年から1996年までの12年間は,GIDの自験総数は10例に過ぎなかったが,1997年から急増しているのがわかる8)。特に2003年から2004年の1年間の新患数は,300例を超え,あべメンタルクリニックでは1日平均2例の初診があったことになる。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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