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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻2号

2005年02月発行

文献概要

研究と報告

高齢双極性障害に対するバルプロ酸とリチウムの安全性と予防効果に関する後方視的検討

著者: 鈴木克治1 田中輝明1 増井拓哉1 仲唐安哉1 下鳥紀生1 新屋美芳1 小山司1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科精神医学分野

ページ範囲:P.177 - P.185

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抄録

 55歳以上でバルプロ酸またはリチウムが処方開始された双極性障害(高齢群)について,その安全性と予防効果を,30~45歳で処方開始された症例(若年群)と比較しながら後方視的に調査した。重度の副作用はリチウム高齢群のみで3例認められた。バルプロ酸は高齢群ではリチウムよりも安全性が優れていたが,薬剤間に予防効果の差はなかった。バルプロ酸では年齢群間に予防効果の差は認められなかったが,リチウムは高齢群のほうが若年群よりもうつ病相の予防および総合判定で優っていた。以上より,高齢双極性障害では特に安全性の面でバルプロ酸がリチウムよりも有益と考えられたが,今後,腎機能や脳器質性の要因も含めて前方視的な検討が望まれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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