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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻2号

2005年02月発行

文献概要

短報

脳動静脈奇形の認知障害に塩酸ドネペジルが効果的であった1例

著者: 今村文美1 荒木一方2

所属機関: 1福井記念病院 2東京逓信病院精神科

ページ範囲:P.195 - P.198

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はじめに

 脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)は,動静脈短絡を主体とする先天奇形で,動脈からの盗血現象による脳還流圧の低下と静脈圧上昇による静脈還流不全によって脳血管系全体の循環障害を引き起こし,それによってけいれん発作,片麻痺などの神経症状,さらに認知障害,性格変化,情動障害のみならず,幻覚妄想のような統合失調症様の精神症状が生じうる疾患である。今回,我々は,妄想,幻聴などの統合失調症様の精神症状を呈して入院したAVM患者に対して,risperidone液(RIS-OS)を使用し著明な浮腫を生じ,donepezil(DNP)に変更することで認知機能の改善を認めた症例を経験した。RISにて薬剤性浮腫を生じた報告は国内外ともに少なく,また,AVMに対してDNPを使用することで認知機能が改善したという報告は,我々が文献的に渉猟した限りでは1例もなかったため,若干の文献的考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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