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研究と報告
精神障害者の生活の質の向上と社会資源との関連性
著者: 掛川秋美1 真崎直子1 清原千香子2 椎木千賀夫1 下野正健1
所属機関: 1福岡県精神保健福祉センター 2九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座予防医学分野
ページ範囲:P.253 - P.259
文献購入ページに移動支援者の視点からみた,精神障害者の「生活の質の向上」と社会資源との関連性を,3,018名を対象にして統計学的に評価した。
現在整備が進められている社会資源は,傷病名が神経症性障害と比較して薬物依存症,気分障害と統合失調症の対象者の「生活の質の向上」に促進的に働く(1.6~1.8倍)ととらえられていた。一方,発病からの経過年数が10年未満に比べて30年以上の対象者と,通算入院期間が1年未満に比して10年以上の対象者では,促進が阻害される(20~40%)と考えられていた。
今回の結果から,現在整備が進められている社会資源は,ある特定の精神障害者には有効であることが示唆された。しかし,発症後長く経過した対象者や長期入院者には,質的に異なる別の枠組みの社会資源が必要であることが推測された。
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