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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻3号

2005年03月発行

文献概要

研究と報告

カプグラ様症状を合併した重症強迫性障害の1例

著者: 中村浩平1 澤村岳人2 菊地章人1 佐藤豊1 佐野信也3 野村総一郎1

所属機関: 1防衛医科大学校精神科 2防衛医科大学校研究センター行動科学研究部門 3防衛医科大学校心理学

ページ範囲:P.277 - P.284

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抄録
 神経症圏病態に生じたカプグラ様症状の報告は少ない。思春期男性が,強迫性障害を発症し,その経過の中で,人物だけでなく,場所や物についての妄想的な入れ替わり体験を訴えた。親に対する暴力のために入院を余儀なくされたが,haloperidolとfluvoxamineの併用が有効であった。全経過を通じて疏通性は保たれ,その他の精神病症状を認めず,統合失調症とは鑑別された。本症例では,「違ってしまったら」という強迫的疑念が,将来への不安の影響を受けて「違うものになってしまった」と妄想的様態にまで発展したが,その基盤には,一流大学を出て法律専門家になるという家族(家系)で共有されていた原則が強く関連していると推察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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