文献詳細
短報
長時間の意識喪失を呈したレビー小体型痴呆の1臨症例
著者: 谷村淳12 島田秀穂12 長弘之3 東麻衣子12 馬場元12 鈴木利人12 新井平伊12
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室 2順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 3春日部中央総合病院脳神経外科
ページ範囲:P.301 - P.304
文献概要
レビー小体型痴呆(dementia with Lewy bodies;以下DLB)は,1970年代より小阪10)が初老期ないし老年期に進行性の認知機能低下とパーキンソン症状,さらに特有の精神症状を示す痴呆性変性疾患として注目し研究してきた疾患であり,1995年の国際ワークショップで臨床像と病理所見の診断基準が作成された。とくに臨床的特徴では,必須症状として進行性の認知機能低下が,中核症状として注意や覚醒度の変動を伴う認知機能の動揺,繰り返す幻視,パーキンソン症状が挙げられている5,10)。最近ではREM睡眠行動異常や抑うつ症状も注目され5),臨床的にはなお症状や治療に関して検討の余地が残されている。
今回,我々は幻覚に少量のリスペリドンが有効で,また経過中,長時間の意識障害を呈したDLBの1例を経験した。DLBの臨床的特徴を検討するうえで興味ある症例と思われ,若干の考察を加え報告する。
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