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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻3号

2005年03月発行

試論

病的悲嘆はPTSDといい得るか

著者: 土橋功昌1 辻丸秀策1 千葉起代2

所属機関: 1久留米大学大学院心理学研究科 2福岡大学大学院人文科学研究科

ページ範囲:P.305 - P.312

文献概要

はじめに
 1995年の阪神・淡路大震災,地下鉄サリン事件を契機として,わが国においてもPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder;心的外傷後ストレス障害)という精神医学的な専門用語が,一般にも広く知られるようになった。また,ガルーダ・インドネシア航空機事故やえひめ丸沈没事故においても,生存者(Survivor)のうちの何人かはPTSDとの診断を下され,そのことがマスコミによって大きく取り上げられたことは記憶に新しい。このように,大規模な自然災害や人為的な災害による外傷体験が,PTSDを引き起こす要因の1つとされており,診断学的にいえばそのような体験なくしてはPTSDと診断されない。
 さて,PTSDという疾患概念は,DSM-Ⅲ(APA,1980)において初めて採用されたが,その後も改訂のたびに基準の内容が変更されており,現在のDSM-Ⅳ(APA,1994)によると,PTSDは不安障害(Anxiety disorder)のサブカテゴリーに分類され,診断のための詳細な基準が設けられている2)。しかし,PTSDは概念そのものについてもまだ流動的であり,診断基準の問題や,疾患概念としての独立性に関しても,今後もさらなる検討が必要との指摘もある14)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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