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精神疾患の遺伝子研究
著者: 中村雅之1 佐野輝1
所属機関: 1鹿児島大学院医歯学総合研究科健康科学専攻社会・行動医学講座精神機能病学分野
ページ範囲:P.348 - P.358
文献購入ページに移動はじめに
近年,精神医学は,大きな変化の波にさらされている。従来の症候論的精神神経医学に対し,神経科学の急激な進歩によって物質論的病因論および診断・治療論を基盤に置いた疾病の再認識,再分類が進みつつある。また,社会的背景とともに疾病構造も大きく変化しつつある。もとより心の病に関しては,脳,身体,心理,家族,社会といったさまざまなレベルでの多面的な研究が必要であるが,現代の科学や技術の驚異的な発展によって,それらが脳の微細な構造の変化,あるいは物質の変化によるものとして説明できるようにもなってきている。筆者たちは,精神疾患の病態を分子レベルで解明し,治療に応用することを目標として,分子生物・遺伝学的なアプローチ法を用いて研究を行ってきたが,自身の研究を交えて,最近の精神疾患の遺伝子研究について述べてみたい。
近年,精神医学は,大きな変化の波にさらされている。従来の症候論的精神神経医学に対し,神経科学の急激な進歩によって物質論的病因論および診断・治療論を基盤に置いた疾病の再認識,再分類が進みつつある。また,社会的背景とともに疾病構造も大きく変化しつつある。もとより心の病に関しては,脳,身体,心理,家族,社会といったさまざまなレベルでの多面的な研究が必要であるが,現代の科学や技術の驚異的な発展によって,それらが脳の微細な構造の変化,あるいは物質の変化によるものとして説明できるようにもなってきている。筆者たちは,精神疾患の病態を分子レベルで解明し,治療に応用することを目標として,分子生物・遺伝学的なアプローチ法を用いて研究を行ってきたが,自身の研究を交えて,最近の精神疾患の遺伝子研究について述べてみたい。
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