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研究と報告
脳血管性痴呆に合併した抜毛症―Paroxetineが有効であった1例
著者: 挾間玄以1 植田俊幸1 川原隆造1
所属機関: 1鳥取大学医学部統合内科医学講座精神行動医学分野
ページ範囲:P.373 - P.377
文献購入ページに移動症例は70歳,女性。64歳より記銘力低下,計算力低下が出現。68歳頃より頭髪の抜毛行為が生じ,次第に悪化するため受診となる。初診時,頭髪は前頭部から頭頂部にかけてほとんど認められなかった。認知機能検査では軽度の痴呆を呈し,頭部MRIにより大脳基底核の小梗塞や,T2強調画像で広範な脳室周囲の高信号域を認めたことから,脳血管性痴呆に合併した抜毛症と診断した。抜毛行為はparoxetineを40mg/日投与することで消失した。治療としてセロトニン再取込み阻害薬が有効であり,またSPECTによる両側前頭側頭葉や大脳基底核の血流低下やMRI所見から,脳血管性病変によるセロトニン神経系の障害が抜毛行為の発現に関連していると考えられた。
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