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短報
境界性人格障害におけるコミュニケーション上の逸脱の評価
著者: 小羽俊士12 堀江姿帆1 三嶋明子1 鍋田恭孝1
所属機関: 1相模ヶ丘病院 2青山渋谷メディカルクリニック
ページ範囲:P.539 - P.542
文献購入ページに移動境界性人格障害は,自己像や他者との関係の不安定さ,それがもとにある感情の不安定さや,衝動的で自己破壊的な逸脱行動を繰り返すこと,そして顕著な空虚感や孤立感が慢性的に存在することなどの臨床像で特徴づけられる1)。この疾患を持つ患者は,面接の中で主観的な体験について具体性に欠ける話し方をすることや,対人関係認知の仕方が漠然としていることが少なからずあることが臨床的には気づかれる。この疾患を持つ患者にみられる自己像や他者との関係性の不安定さといった症状の背景には,こうした漠然とした認知やコミュニケーションの問題があることが考えられる。しかし,このような認知やコミュニケーション・スタイルの問題が境界性人格障害の患者では健常者に比較して多いのかどうか,定量的に調べた研究は筆者の知る限りはまだなされていない。
本研究の主な目的は,上記の臨床的な印象を検証することにある。すなわち,主観的な体験を語る課題を与えられたときに,境界性人格障害の患者は健常者に比較して相手にわかりにくい漠然とした話し方をする傾向がより多いかどうかを調べるものである。
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