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短報
脳波異常と幻覚妄想状態を呈した脳梁欠損症の1例
著者: 財津康司1 秋山政寛1 安藤義将1 安藤信義2 南光進一郎1
所属機関: 1帝京大学医学部精神神経学講座 2安藤病院
ページ範囲:P.549 - P.552
文献購入ページに移動左右の大脳半球を結ぶ神経線維束を交連というが,脳梁はその中で最大のものである。
脳梁欠損症(agenesis of the corpus callosum)は脳梁の形成障害の程度により完全欠損から部分欠損までみられる。1812年にReilが初めて報告して以来,気脳撮影・剖検により診断されていたが,最近はCT,MRIの導入によって,より多くが発見されるようになった。その臨床症状に関しては,神経学的な所見に関するものや合併奇形を有する症例の報告が多くみられるが,精神症状を呈した例の報告は少ない。これまでの報告では,幻覚妄想状態3,5,10,12),躁うつ病様の精神症状1),あるいはとん走を繰り返した例7)が報告されている。しかし,脳梁欠損症と精神症状との関連はいまだ十分に解明されているとはいえず,今後も症例の集積が必要である。我々は幻覚妄想状態と脳波異常を呈した脳梁欠損症の患者を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
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