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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻6号

2005年06月発行

オピニオン メチルフェニデートの有用性と有害性をめぐって

Methylphenidateのうつ病に対する有効性について

著者: 樋口輝彦1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院

ページ範囲:P.590 - P.594

文献概要

はじめに

 Methyphenidate(MPD)の依存・乱用の問題は今日,社会問題にもなるほど重要課題になっている。MPDは精神刺激薬であり,覚醒作用を有することは広く知られている。MPDの適応症は「ナルコレプシー」と「抗うつ薬で効果不十分な難治性,遷延性うつ病」であり,小児のAD/HDに対してはoff-labelで用いられている。MPDの乱用・依存を肯定する医療関係者はいないが,現実には医師の処方したMPDによって乱用者,依存者が生じていることを考えると,今のままでよいという意見はたぶん,どこからも出てこないであろう。しかし,最近,MPDの適応症からうつ病を削除したいというメーカーの動きがあると聞くが,この議論をする前提はあくまでも科学的根拠によるべきであり,社会問題化している依存・乱用の防止と分けて論ずべきであると考える。うつ病の適応を削除するのはうつ病に有効性がない,あるいは安全性が担保できないことが根拠にされるべきで,依存・乱用の問題と分けて論じないと混乱するのである。そこで,ここではMPDがうつ病に有効か,安全かについて,これまでの内外の比較試験を中心にレビューすることにした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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