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研究と報告
AIDS寛解下で幻覚妄想状態を呈した1例
著者: 遠藤裕介1 谷井一夫1 頴原禎人1 和久津里行2 忽滑谷和孝1 宮田久嗣1 中山和彦1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神医学講座 2大多喜病院
ページ範囲:P.663 - P.669
文献購入ページに移動近年,AIDSの治療に高活性抗レトロウイルス療法(highly active antiretroviral therpy:HAART)が導入され,AIDSが寛解状態に至る症例が増加している。今回我々はHAART導入後,AIDS寛解状態で幻覚妄想状態を呈し,HIV脳症が疑われた症例を経験したので報告する。症例は35歳男性,同性愛者。27歳時にAIDS告知。29歳時よりHAART導入となり,以後免疫機能は寛解状態にあった。35歳時,誘因なく幻覚妄想状態を呈し,種々の除外診断の結果,HIV脳症の発症と考えられた。AIDS寛解状態であっても,精神症状を呈するケースではHIV脳症である可能性に留意していく必要がある。
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