文献詳細
研究と報告
児童青年期発症の統合失調症における前駆症状の男女比較
著者: 小瀬朝海1 砂原千穂2 山田敦朗3 高山学4 石田芳久4 西田寿美4 郭哲次1 篠崎和弘1
所属機関: 1和歌山県立医科大学神経精神医学教室 2関西医科大学精神神経科 3豊橋市民病院精神・神経科 4三重県立小児心療センターあすなろ学園
ページ範囲:P.703 - P.708
文献概要
児童青年期(18歳以下)に統合失調症を発症した患者51人(男子36人,女子15人)の発症年齢(前駆症状の出現年齢),前駆症状の男女差を調査した。平均発症年齢は,男子13.7±1.5歳,女子14.3±2.0歳であった。前駆症状は,認知の変化(被害関係念慮,奇異な思考内容,幻覚様体験など),行動の変化(不登校,攻撃性・暴力など)が多く,不登校は男子に,幻覚様体験の訴えは女子に多く認める傾向があった。この年代は抽象化・言語化能力に男女差が出現するため,表出される前駆症状にも男女の違いが生じると考えられた。不登校などの場合も前駆症状である可能性を視野に入れ,早期介入に努めることが重要である。
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