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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻7号

2005年07月発行

文献概要

研究と報告

幻視に対してtrazodoneが奏効したレビー小体型痴呆の2症例

著者: 井貫正彦1 遠藤博久1 八木下敏志行2

所属機関: 1君津中央病院精神科 2君津中央病院神経内科

ページ範囲:P.725 - P.732

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抄録

 レビー小体型痴呆(DLB)の幻視に対してtrazodoneが奏効した2症例(糖尿病合併例と高度のparkinsonism合併例)を経験した。幻視に対して通常投与される非定型抗精神病薬については,2症例ともneuroleptic sensitivityがあり重篤な副作用が出現しやすいと考えられ,慎重にならざるを得なかった。特に,高度のparkinsonism合併例ではいっそうの慎重さが求められた。また,最も推奨されるquetiapineは,糖尿病合併例では投与禁忌であった。幻視の発現にセロトニン(5-HT)系の関与が指摘されており,本経験から,DLBの幻視に対して5-HT2受容体遮断薬であるtrazodoneは,効果,安全性の両面で試みる価値があると考えられた。今後も抗精神病薬以外の薬物療法の蓄積が期待される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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