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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻7号

2005年07月発行

文献概要

短報

Estriol投与にて症状の改善を認めた女性の遅発性統合失調症の1例

著者: 藤川徳美1

所属機関: 1賀茂精神医療センター

ページ範囲:P.761 - P.763

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はじめに

 統合失調症(以下Sと略す)の発症年齢は,男性では17~19歳がピークだが,女性では25~30歳と45~50歳と二相性を呈するという性差を認める。抗精神病薬への反応性は,若年女性は同世代男性より薬物への反応性が良いが,高齢女性は薬物への反応性が悪く錘体外路徴候が出やすいと言われている。この性差にはestrogenの関与が考えられており,Seemanら6,7)は「Sのestrogen仮説」を提唱している。つまり,①女性におけるestrogen分泌が発症年齢を遅らせる,②estrogen血中濃度が高い妊娠中は症状は再発しにくい,③estrogen血中濃度が低下する産後や閉経後などに発症・再発しやすいことが説明できると提唱している。

 ここ数年,高齢の女性S患者に対してestrogenを投与し,効果を認めたとの報告がいくつかみられるようになった。これらの報告ではいずれもestrogenの中では最も生物学的活性が強力なestradiol(E2)を使用したものである。今回我々はより生物学的活性が低く安全性の高いestriol(E3)にて精神症状の改善を認めた女性の遅発性Sの1例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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