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特集 リエゾン精神医学の現状と課題
リエゾン精神医学の現状と課題
著者: 國澤正寛1 津田真2 濵元泰子1 中谷真也3 河瀬雅紀34 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学 2大津市民病院緩和ケア科 3醍醐病院 4京都ノートルダム女子大学心理学部心理学科
ページ範囲:P.823 - P.830
文献購入ページに移動コンサルテーション・リエゾン精神医学は,米国では20世紀初頭より始まったとされるが,わが国では1977年に加藤5)によりコンサルテーション・リエゾン精神医学の概念が紹介されて以降,精神科医の間に広がり始めた。そして1988年には,日本総合病院精神医学会が設立され,コンサルテーション・リエゾン精神科医が集い,実践報告など専門的な学術活動の場が確保された。2001年からは日本総合病院精神医学会による専門医制度が始まり,また,2004年から開始された新医師臨床研修制度において精神科研修が必修化され,コンサルテーション・リエゾン精神医学もその教育に組み込まれるなど,この分野に対する関心はますます高まってきている。
一方で,全国の総合病院に必ずしも精神科の常勤医が配置されているわけではなく,また常勤の精神科医が1人であるところも多い。そこで,総合病院において精神科医が果たせる役割にも限界があり,大学病院やがんセンターなどの一部の施設を除いては,「身体疾患のチーム医療の一員として」よりは「身体疾患の治療にあたっている主治医からの相談を受けて」対応することが多いと思われる。
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