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特集 リエゾン精神医学の現状と課題
皮膚科領域におけるリエゾン精神医学―本邦における歴史および現状と課題
著者: 境玲子13 池澤善郎2 小阪憲司1 平安良雄1
所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2横浜市立大学医学部皮膚科学教室 3積愛会横浜舞岡病院
ページ範囲:P.857 - P.862
文献購入ページに移動皮膚は身体の一部であるが個人と外界との「境界」として存在し,個体の外見的識別の重要な要素でもある。本邦で“あばた”や“しみ・そばかす”が醜形ととらえられ,グリム童話でも“白雪姫”の美しさが“skin as white as snow”と形容されているように,洋の東西を問わず,「皮膚に病変がない」ことが美の条件の一つとしてとらえられてきた。裏を返せば,皮膚病変の存在が一般社会において個人の短所ととらえられる傾向を示し,他者とのかかわりや個人の発達過程に大きく影響することを示す。
欧米では「皮膚と精神の関連」について古くから検討されてきたが,本邦では皮膚科と精神科との連携の歴史は浅く,報告も少ない。本稿では「皮膚―精神」への探求について海外での知見と歴史,本邦の現状を述べ,リエゾン精神医学の立場から「皮膚科と精神科との連携」について考察する。
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