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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻8号

2005年08月発行

文献概要

特集 リエゾン精神医学の現状と課題

救命救急医療における精神医学―自殺者の増加を背景とした精神科医の役割

著者: 山田朋樹12 河西千秋2 長谷川花2 佐藤玲子2 小田原俊成2 杉山貢1 平安良雄2

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センター 2横浜市立大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.869 - P.876

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はじめに
 横浜市立大学では,1990年に救命救急センターが開設され本格的な救命救急医療がスタートした。当時すでに本学では研修医の2年間のローテート研修が義務づけられており,1990年から救命救急センター研修も必修化された。診療科相互の敷居が低く,救命救急センターと精神科とのかかわりは初めから密であった。当初は,せん妄患者の治療,精神疾患を持つ入院患者の精神症状評価と対応,あるいは薬剤調整の指導といった業務が中心であった。救命救急センターからのコンサルテーションは,他の病棟と比較して多い。しかし,たとえば過量服薬による自殺企図で在院期間が1日のみの患者においては,わずか1度の診察機会しか持てないこともあるため,精神科医―患者関係は希薄になりがちである。自殺者・自殺企図者に最前線で対応しているのは,身体科医としての救命救急医療スタッフである。彼らは,これらの患者に対して身体的な救命処置のみでは済まされないことを以前から肌で感じており,精神科医と常時,密接な連携を持ち治療に当たることの必要性を実感している。本学では精神科から考える必然性と,この救命救急センターからの要請により,現在救命救急センターに精神科医の常勤ポストが置かれている。今後,心の領域も含めた「救急医療における包括的な医療の実践」が必要であるという認識はますます高まってくると考えられる。このような現状を踏まえ,コンサルテーション・リエゾン領域における精神科医として,救命救急センターで取り組むべき役割について,以下に総括し考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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