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短報
多彩な精神症状を呈した初期のDiffuse neurofibrillary tangles with calcificationが疑われる1臨床例
著者: 北林百合之介1 上田英樹1 柏由紀子1 成本迅1 藤井英子2 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学 2第二北山病院
ページ範囲:P.897 - P.900
文献概要
Diffuse neurofibrillary tangles with calcification(石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病;DNTC)は1992年,1994年に小阪が提唱した臨床病理学的疾患概念である3,4)。同概念は,「分類困難な初老期痴呆症」から,Alzheimer病(AD),Pick病(PD),Fahr病の特徴を併せ持つ一群として取り出され,一疾患単位として確立された3,4)。その後の報告において,DNTCの臨床的特徴についても明らかにされてはきているものの,臨床例の報告は少なく,一般精神科医の認知もまだ不十分なのが現状と思われる。今回,我々は多彩な精神症状を呈し分裂感情障害の診断で加療されていた,臨床的に初期のDNTCが疑われる1例を経験した。症例について紹介し文献的考察を加える。
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