文献詳細
短報
カウンセリングによって男性に対する同一感が消失した女性の1例
著者: 古橋忠晃1 丸山明2 西岡和郎3
所属機関: 1名古屋大学学生相談総合センター/大学院医学系研究科精神健康医学 2野崎クリニック 3名古屋大学医学系研究科精神医学分野
ページ範囲:P.909 - P.911
文献概要
2004年7月,戸籍変更を認める性同一性障害特例法が施行され,性同一性障害は社会的にも大きな関心を呼びつつある。DSM-IV1)においては,性同一性障害の診断は「反対の性に対する同一感」と「自分の性に対する不快感」によってなされる。精神医学的に性同一性障害の診断が下されると,「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」によって,ホルモン療法,手術療法などへと至る症例もある。しかし,実際の臨床においては,必ずしも明確で固定した「反対の性に対する同一感」を示さない症例に出会うこともある。今回,初めは「自分は性同一性障害だと思うから,ホルモン療法をしてほしい」という主訴で来院したが,しばらくのカウンセリングを経て,反対の性に対する同一感の消失した症例を報告する。
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