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文献詳細

雑誌文献

精神医学47巻8号

2005年08月発行

資料

統合失調症患者の障害年金

著者: 山本宙1 柳田諭2 野村陽平1 副田秀二1 藤岡耕太郎1 木村光男1 森山成あきら1 斉藤雅1 山口奈美1 瀬戸浩一1 三重野芳美1

所属機関: 1八幡厚生病院 2九州大学大学院医学研究院精神病態医学教室

ページ範囲:P.913 - P.919

文献概要

はじめに
 山田5)は,1980年の『国際障害者行動計画』に書かれている障害者の「完全参加と平等」の実現のために避けられない問題として,必要最低限の安定した収入の確保を挙げている。また,国連の『障害者の権利宣言』(1975年・第30回国連総会決議)の中に「障害者は経済的社会的保障を受け,相当の生活水準を保つ権利を有する」という規定があることも紹介している。日常の臨床で,強迫的手洗いの水道代に何万円もかかる強迫性障害患者や,中年に達した慢性統合失調症の子どもと少ない老齢年金だけで生活しているその親など,精神的だけでなく経済的な面でも追いつめられている症例とはよく出会う。そのたびに,はたして「完全参加と平等」や「相当の生活水準」が達成されているのだろうかと疑問に思う。今回我々は,そうした障害年金の問題点を明確にするためにアンケート調査を実施した。その結果と,国民年金課窓口などでは困難と指摘されたが,障害年金を取得できた症例とを提示して,臨床医からみた障害年金の問題点を考察し,その改善策について若干の提案を行いたい。というのも,精神障害者を持つ家庭への公的援助の中で障害年金は重要な位置を占め,その取得の有無が生活や治療に大きく影響していると感じているからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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