精神医学47巻9号

2005年09月発行

研究と報告

Adult AD/HDに対する治療的アプローチの検討―薬物療法を中心に

著者： 朝倉新¹ 松本英夫¹ 大園啓子¹ 煙石洋一¹ 寺岡菜穂子¹ 中村優里¹ 大屋彰利¹

所属機関： ¹東海大学医学部専門診療学系精神科学

ページ範囲：P.963 - P.972

抄録

　近年本邦でもAdult AD/HDに関する認識が一般的になり，外来を受診する症例が増加している。そこでAdult AD/HDに対する治療の現況について薬物療法を中心に報告し考察を加えた。対象は，東海大学医学部附属病院精神科児童青年精神科外来に「自分はAD/HDではないか」という主訴で受診した症例のなかで，AD/HDと診断されて外来治療を施行した21例(男性10例，女性11例)である。薬物療法については，原則的にmethylphenidate単剤を中心とした。治療効果については，治療開始後1か月で「改善」が21例中2例(9.5％)であった。また不注意優勢型はmethylphenidate単剤で「改善」した症例は認められなかった。