文献詳細
研究と報告
偽神経症性統合失調症再考―比較的少量のolanzapineが著効を示した3症例
著者: 兼本浩祐1 古井由美子1 山口力2 坂本玲子1
所属機関: 1愛知医科大学精神神経科 2愛知医科大学総合診療内科
ページ範囲:P.993 - P.1000
文献概要
今回我々は精神病性障害およびその周辺疾患の長期経過研究の途中で,顕在的な精神病症状も分裂病型人格障害のような奇妙な日常生活での立ち居振る舞いも認められず,DSM診断では不安障害や身体化障害などいわゆる神経症圏内の病態に分類せざるを得ないが,些細なきっかけで誘発される突発的で全面的な情動制御の破綻,ロールシャッハテストの形態水準の悪さに反映される思考や連想の歪みを示し,Hochらの偽神経症性統合失調症の診断基準を満たした3症例において,比較的少量のolanzapineの劇的な奏効を体験した。この経験を背景として,顕在発症した統合失調症とも転移の病としての境界性人格障害とも区別される偽神経症性統合失調症という臨床単位の有用性について若干の再評価を試みた。
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