文献詳細
研究と報告
亜昏迷状態を呈し,大うつ病性障害とクッシング症候群との鑑別が困難であった1例
著者: 土岐茂1 高見浩1 渕上学1 森信繁1 山脇成人1 茶谷成2 横山雄二郎2 山根公則3
所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経医科学 2広島大学大学院医歯薬学総合研究科外科学 3広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子内科学
ページ範囲:P.1001 - P.1008
文献概要
クッシング症候群はコルチゾールの過剰分泌により,中心性肥満や高血圧,易疲労感,無月経等の身体症状を来す症候群である。不安,抑うつ,精神病様症状などの精神症状から発症することがあり,精神疾患との鑑別は難しい。今回,我々は亜昏迷状態を呈し,大うつ病性障害とクッシング症候群との鑑別に苦慮した1例を経験した。発病直前にストレス因子を持ち,精神症状とクッシング症候群の罹患との時間的関連は明らかでなかった。副腎切除後も精神症状が遷延し,心理社会的介入が効果を示したことから,心身相関の過程が病状に少なからず影響していると考えた。術前の薬物療法では新規抗精神病薬のquetiapineが有効であった。
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