文献詳細
短報
身体化障害を疑われた家族性アミロイドニューロパチーの1臨床例
著者: 渡邊朋子12 稲見理絵13 島田秀穂13 木村通宏14 福田麻由子13 島崎正次5 永原章仁6 木田一成7 鈴木利人13 新井平伊12
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室 2順天堂医院メンタルクリニック 3順天堂越谷病院精神科 4順天堂江東高齢者医療センター 5久喜すずのき病院 6順天堂大学医学部消化器内科 7順天堂越谷病院内科
ページ範囲:P.1009 - P.1012
文献概要
家族性アミロイドニューロパチー(familiar amyloid polyneuropathy;以後FAPと略す)は,全身性アミロイドーシスのうち,初期に末梢神経と自律神経にアミロイド沈着が生じ,進行期には心臓や消化管,腎臓なども障害される予後不良の遺伝性疾患(常染色体優性遺伝)である1,2)。多様な臓器障害を認める一方,精神症状に関する報告は稀である。また頭部画像検査についても,特徴的な所見は報告されていない。
今回筆者らは,身体症状に加えて,多彩な精神症状を呈したFAPの女性例を経験した。本例に対して頭部検査や心理検査などの詳細な検討も行い,その結果FAPの精神症状を検討する上で興味ある所見が得られたので,若干の考察を加えて報告する。
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