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雑誌文献

精神医学48巻1号

2006年01月発行

文献概要

私のカルテから

駆梅療法後に神経心理検査と脳血流が改善した進行麻痺の1例

著者: 仲秋秀太郎1 東英樹1 品川好広1 古川壽亮1 遠山順子2 中村光3

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学 2名古屋市立大学大学院医学研究科放射線科 3岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科

ページ範囲:P.89 - P.92

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はじめに

 進行麻痺は,痴呆症状が進行してしまうとペニシリンの大量療法に十分に反応しないといわれている。ペニシリンの治療前後の脳血流画像による最近の検討は,評価時期により結果は異なり,見解は一定していない。我々は,脱抑制的な行動を示した進行麻痺の1例に,ペニシリンの大量投与を行い,精神症状の改善後,脳血流SPECTの一部改善と神経心理検査の一部の改善を認めたので報告する。脳血流SPECTの解析には,新しい画像統計解析方法であるeZIS(easy Z-score Imaging System)4)を用いて検討した。なお,本報告にあたっては,患者および家族から文書による同意を得ている。

参考文献

1) 鉾石和彦,小森憲治郎,池田学,他:駆梅療法の奏功した進行麻痺例の神経心理学的検討.精神医学 40:1001-1003,1998
2) Ide M, Mizukami K, Fujita T, et al:A case of neurosyphilis showing a marked improvement of clinical symptoms and cerebral blood flow on single photon emission computed tomography with quantitative penicillin treatment. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 28:417-420, 2004
3) Kitabayashi Y, Ueda H, Narumoto J, et al:Cerebral blood flow changes in general paresis following penicillin treatment:A longitudinal single photon emission computed tomography study. Psychiatry Clin Neurosci 56:65-70, 2002
4) 松田博史:新しい脳血流SPECTの画像統計解析法(easy Z-score Imaging System:eZIS)の有用性.月刊インナービジョン 11:97-103,2002
5) 高橋恵,長谷川修,藤田春洋,他:駆梅療法により脳血流量の明らかな改善をみた進行麻痺の1例.脳神経 44:645-648,1992
6) 寺田整司,家森紀光,石津秀樹,他:右優位の大脳萎縮・血流低下を認め,治療開始に伴い精神症状の急激な増悪をみた進行麻痺の1例.精神医学 42:835-839,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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