精神医学48巻1号

2006年01月発行

動き

「第13回世界精神医学会議（カイロ）」印象記

著者： 野口正行¹² 大塚公一郎¹³ 加藤敏¹

所属機関： ¹自治医科大学精神医学教室 ²佐野厚生総合病院精神神経科 ³自治医科大学看護学部

ページ範囲：P.102 - P.103

　2005年9月10日より15日まで，Ahmed Okasha会長のもと，エジプトの首都カイロにて第13回世界精神医学会議が行われた。標題はエジプトならではの「科学とケアの5000年」であり，精神医学の淵源が古代の文明のはじまりとともにあったことを思い起こさせる。我々は自らを近代医学に基づいた精神医療を行うものと自認しているが，Ellenbergerが「無意識の発見」において跡付けたように，近代科学以前からの重層的な歴史の蓄積の上に現在の我々の実践があるということを改めて気づかせるものであった。

　学会の内容としては，遺伝，脳機能，形態学，薬物などの生物学的分野から，社会精神医学，芸術療法，病跡学の分野の発表など多岐にわたるが，エジプトで主催されたことも関係あるのか，宗教と精神医学，途上国の精神医学的問題など社会文化的側面に力点を置いた発表が目立ったように思われる。

参考文献

1) Harding CM, Brooks GW, Ashikagu T, et al：The Vermont longitudinal study of persons with severe mental illnessⅡ：Long-term outcome of subjects who retrospectively met DSM-Ⅲcriteria for schizophrenia. Am J Psychiatry 144：727-735, 1987

2) Patel V, Sumathipala A：International representation in psychiatric literature：Survey of six leading journals. Br J Psychiatry 178：406-409, 2001