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短報
統合失調症外来例に対するSDA長期投与の臨床評価―Perospirone単独投与例とrisperidone単独投与例の比較
著者: 福智寿彦1 湯浅省志1 北村岳彦1 兼本浩祐2
所属機関: 1医療法人福智クリニック 2愛知医科大学精神神経科
ページ範囲:P.1229 - P.1231
文献概要
近年,risperidone(RIS)をはじめとするいわゆる非定型抗精神病薬の統合失調症治療における有用性はほぼ一般に認知されたといってよい状況であるが,本邦で発売されている非定型抗精神病薬4剤を例にとっても,それぞれの薬剤プロフィールの相違についてはいまだ検討の途上である。その中でも特に,D2受容体と5-HT2A受容体遮断作用を有する点において共通し,ともにserotonin dopamine antagonist(SDA)と呼ばれているperospirone7)(PER)とRIS5)の相違に関しては,PERが本邦で開発され,世界的には注目されることが少なかったことも相まって,特に臨床的なデータの蓄積が不十分な状態が続いている。しかしながら,特に不安・抑うつ症状に関しては,RISよりPERにおいてより改善する傾向が多かったとする報告が散見されており1,9),非定型抗精神病薬の先駆けであるRISにおいて注目されているawakening現象と統合失調症の不安・抑うつを関連させて論じている論文などを念頭におくと8,11),この相違は臨床上重要である可能性がある。
今回我々は,両剤の臨床的な違いを明らかにしたいと考え,外来通院中の統合失調症患者において,それぞれの薬剤が単独で投与された症例を選択し,1年間経過観察を行い,Lindenmayer6),またそれときわめて類似した山科ら12)を参照してPANSSの5つの下位分類に関して前後を比較した。
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