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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻11号

2006年11月発行

文献概要

書評

医療現場におけるパーソナリティ障害―患者と医療スタッフのよりよい関係をめざして

著者: 有賀徹

所属機関: 1昭和大学病院救命救急センター

ページ範囲:P.1264 - P.1264

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パーソナリティー障害を知る最良の書

 この度,『医療現場におけるパーソナリティ障害 患者と医療スタッフのよりよい関係をめざして』が上梓された。救急医療に携わったことのある読者であれば,よく理解されていることと思うが,救急医療において精神医学的な支援を要する局面は多々あって,身体的な治療が一段落するや,しばしば精神科医にコンサルテーションをあおぐ。そのような中で,“パーソナリティ障害”を指摘される事例もまた少なからず経験される。そこでは,“パーソナリティ障害は病気なのか,病気でないのか”について質疑をしたり,一般的な精神病に比して“パーソナリティ障害は10倍も苦労が多い”などと聞いたりするものの,結局のところ,精神医学に疎い我々一般医にとって“パーソナリティ障害”を理解することはやさしいものでは到底なかった。これが我々一般医の本音である。

 本書の副題には「患者と医療スタッフのよりよい関係」が謳われているが,まずは我々が一定水準まで“パーソナリティ障害”を知ることがこのための大前提であろう。本書はその意味で我々一般医にそれを叶えてくれる,言わば“傑出した”良書である。もちろん,本書は実際の精神科診療に関するカンファランスを契機にまとめられたもので,精神科医にとってもこの分野で十分に役立つ内容が含まれている。それらは,著者らが大変よく噛み砕いて,親切に説明していることで一見してよくわかる。精神医学の奥の深さや社会とのつながり等々,きわめて含蓄の豊かなことに驚く。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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