文献詳細
文献概要
私のカルテから
Fluvoxamineの増量が有効であった仮面うつ病の1症例
著者: 清水義雄1 岸口武寛1
所属機関: 1国立病院機構岡山医療センター精神科
ページ範囲:P.1325 - P.1327
文献購入ページに移動 身体症状を主として示すうつ病は,身体の病気という仮面をかぶっているようにみえるため,「仮面うつ病」と呼ばれる7)。仮面うつ病のほとんどはうつ病の程度としては軽症と判断されることが多く,軽症うつ病と同義語とされている。しかし身体症状に隠されて心のうつ状態が見えにくく,うつ病であることが見逃される可能性があり注意が必要である3,9)。今回我々はうつ症状は早期に改善したが,約1年間にわたり持続した後頸部のだるさに対して,Fluvoxamine(以下FLUVと略す)の増量が有効であった症例を経験した。精神科医が仮面うつ病を診察する場合うつ病であることを見逃すことは少ないが,身体症状がうつ病の一症状であることを十分に認識しておくことが必要であると考えられた。
参考文献
1) American Psychiatric Association:Practice Guideline for the Treatment of Patients With Major Depressive Disorder, 2nd ed. American Psychiatric Association, 2000
2) Bartz JA, Hollander E :Is obsessive-compulsive disorder an anxiety disorder? Prog Neuropsychopharmacol Bio Psychiatry 30:338-352, 2006
3) 一條智康:仮面うつ病.レジデントノート 6:780-782,2004
4) 金久卓也,深町建:日本語版コーネル・メディカル・インデックス-その解説と資料.三京房,1983
5) 松浪克文,大前晋:内因性うつ病とパーソナリテイー.精神科治療学 14:729-738,1999
6) 小野正美,菅野智行,沼田吉彦,他:身体表現性障害に対するfluvoxamineの治療効果.臨精薬理 7:855-862,2004
7) 大月三郎,黒田重利,青木省三:精神医学.文光堂,p274,2004
8) 大月健郎,岡部健雄:身体表現性障害に対して選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有効であった3症例.倉敷中病年報 66:63-67,2004
9) 山岡昌之:身体症状が前景に立つうつ病.日本医事新報 4201:15-18,2004
掲載誌情報