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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻12号

2006年12月発行

文献概要

私のカルテから

葛藤の中で生じ身体表現性と思われた症状が器質性であった高齢女性の2症例

著者: 上田諭1 小山恵子1 佐藤克彦2 陳野美奈1 諸岡千草1 戸田ユリ子3 勝尾ふき子3

所属機関: 1東京都老人医療センター精神科 2東京都教職員互助会三楽病院精神神経科 3東京都老人医療センター看護部

ページ範囲:P.1329 - P.1331

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はじめに

 身体症状を訴える患者に対する精神科診断には,まず器質性疾患の検索を行うが,とりわけ実際に身体疾患を有している可能性が高い高齢者においては,背景に身体的問題がないかどうか常に十分な注意を払う必要がある。今回,息子への依存欲求が満たされない葛藤状態のさなかに顕著な腰痛や嘔気を生じ,身体表現性の症状を疑われたが,入院後の精査で身体症状の原因となり得る器質性要因が判明した高齢女性の2症例を経験した。臨床経過を示し,高齢者の診断に際し留意すべき点について考察した。

参考文献

1) 丸田俊彦:「痛み」の心理的側面-特にPain Behaviorについて.精神医学 18:1059-1064,1976
2) 上田諭,小山恵子,伍賀史子,他:Diazepamと抗コリン薬の中止で重度痴呆状態から劇的に回復した高齢者症例.精神医学 48:783-785,2006
3) 山下格:誤診のおこるとき-早まった了解を中心として.診療新社,1980

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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