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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻2号

2006年02月発行

文献概要

研究と報告

健常成人における内田クレペリン検査成績と人格特性との関連

著者: 清野絵1 笠井清登2 工藤紀子3 山崎修道4 山末英典2 福田正人5 加藤進昌2

所属機関: 1慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科・認知・身体科学プログラム石崎研究室 2東京大学大学院医学系研究科・精神医学 3千葉大学大学院文学研究科 4東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 5群馬大学大学院医学系・脳神経精神行動学

ページ範囲:P.127 - P.133

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抄録

 内田クレペリンテスト(UK)は,精神作業遂行の正確性,持続性,安定性を見る日本独自の優れた心理検査であるが,従来は結果の解釈が複雑なため臨床応用が限定されていた。本研究は,健常成人48名を対象にUKの行動指標とTemperament and Character Inventory(TCI)における人格特性との関連を検討した。その結果,UKとTCIの,行動を統制し,調整し,調節する能力であるSelf-Directedness(SD)得点との関連が確かめられた。本研究の結果は,UKの心理検査としての意義を明確化し,精神疾患患者を対象とした場合の解釈にも有用な情報を与えるものと考えられる。

参考文献

1) Cloninger CR, Svrakic DM, Pizybeck TR, et al:A psychobiological model of temperament and character. Arch Gen Psychiatry 50:975-990, 1993
2) Graf O:Die Arbeitspause in Theorie und Praxis. Psychologishe Arbeiten Bd 9:563-681, 1927
3) 橋健行:精神病者の精神作業測定に関する研究.呉教授在職二十五年記念文集,呉教授在職二十五年祝賀會,1925
4) 柏木繁男,玉井寛,田中芳美,他:加算作業の曲線3特性と性格評定3特性との関連づけについて.心理学研究 57:8-12,1986
5) 柏木繁男,山田耕嗣:性格特性5因子モデル(FFM)による内田クレペリンテストの評価について.心理学研究 66:24-32,1995
6) 木島伸彦,斉藤令衣,竹内美香,他:Cloningerの気質と性格の7次元モデルおよび日本語版Temperament and Character Inventory(TCI).精神科診断学 7:379-399,1996
7) 木島伸彦:Cloningerのパーソナリティ理論の基礎.精神科診断学 11:387-396,2000
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12) 内田勇三郎:精神作業並ニ作業時ニオケル情意変化ノ実験的研究.精神経誌 33:174,1931
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14) 内田勇三郎:新適性検査法.日刊工業社,p188,1957
15) 横田象一郎:クレペリン内田精神作業検査法解説.金子書房,p112,1949
16) 横田象一郎:クレペリン精神作業検査解説 新訂増補.金子書房,p112,1965
17) 芳野晴男:矢田部ギルフォード性格検査[YG]による性格類型とクレペリン精神作業検査[KPT]成績の相関資料.文化紀要 12:39-43,1978

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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