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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻4号

2006年04月発行

文献概要

短報

神経精神症状に対してミルナシプランの単剤投与が奏効した進行性核上性麻痺の1例

著者: 横山裕一1 渡部雄一郎12 小澤鉄太郎3 今村徹45 福井直樹6 高橋誠16 染矢俊幸16

所属機関: 1新潟大学医歯学総合病院精神科 2松浜病院 3新潟大学医歯学総合病院神経内科 4新潟リハビリテーション病院神経内科 5新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科 6新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野

ページ範囲:P.439 - P.441

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はじめに

 進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)は,1964年にSteeleらにより提唱され,垂直性眼球運動障害,易転倒性,痴呆などを主症状とする変性疾患である11)。治療法は確立されていないが,セロトニン(5-HT)やノルアドレナリン(NA)神経系に作用する薬物が有効であったとする報告が散見され8),最近では,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるmilnacipran(MIL)が奏効した症例が報告されている13)。今回,我々は少量のMIL単剤投与により,意欲低下,姿勢反射障害,眼球運動障害などに改善がみられたPSPの1例を経験したので若干の考察を交えて報告する。

参考文献

1) 藤野泰祐,中島雅士,坪井義夫,他:進行性核上性麻痺(PSP)に対するtandospirone citrate(5-HT1A agonist)の効果.臨床神経 42:42-44,2002
2) Ghika J, Tennis M, Hoffman E, et al:Idazoxan treatment in progressive supranuclear palsy. Neurology 41:986-991, 1991
3) 石川正憲,佐々木恵美,白石博康,他:塩酸アマンタジンが著効した抑うつ状態を呈した進行性核上性麻痺の1臨床例.精神医学 39:315-318,1997
4) 泉剛,鈴木康夫,新明康弘,他:眼球運動検査が早期診断に有効で,trazodoneによって前頭葉機能が改善した進行性核上性麻痺の1症例.精神医学 44:961-968,2002
5) Kish SJ, Chang LJ, Mirchandani L, et al:Progressive supranuclear palsy:Relationship between exrapyramidal disturbances, dementia, and brain neurotransmitter markers. Ann Neurol 18:530-536, 1985
6) Litvan I, Agid Y, Calne D, et al:Clinical research criteria for the diagnosis of progressive supranuclear palsy(Steel-Richardson-Olszewski syndrome):Report of the NINDS-SPSP international workshop. Neurology 47:1-9, 1996
7) 丸山哲弘,田丸冬彦,柳澤信夫:L-threo-3,4-dihydroxyphenylserineが著効を呈した進行性核上性麻痺の1例.臨床神経 32:606-611,1992
8) 松尾秀徳:進行性核上性麻痺の治療.神経内科 56:138-142,2002
9) 長郷国彦,渋谷統寿,調漸,他:Bromocriptineが著効を示した進行性核上性麻痺の1例.神経内科 31:163-168,1989
10) Newman GC:Treatment of progressive supranuclear palsy with tricyclic antidepressants. Neurology 35:1189-1193, 1985
11) Steele JC, Richardson JC, Olszewski J:Progressive supranuclear palsy. Arch Neurol 10:333-359, 1964
12) 山田達夫:進行性核上性麻痺に対するamitriptylineの治療.神経内科治療 3:353-356,1986
13) 山崎英智,山崎英樹,山崎恵子:塩酸ミルナシプラン少量投与が奏効した高齢発症の進行性核上性麻痺の1例.神経内科 58:603-605,2003
14) 吉岡亮,廣瀬源二郎,小田禄平,他:抗うつ剤の著効した進行性核上麻痺の1例─皮質下痴呆の治療として.神経内科 27:397-399,1987
15) 雪竹基弘,高島由紀,黒原和博,他:進行性核上性麻痺の眼球運動障害に対する5-hydroxytryptophanの効果.臨床神経 36:906-908,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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