文献詳細
文献概要
短報
辺縁系神経原線維変化認知症の一剖検例
著者: 都甲崇1 勝瀬大海1 磯島大輔1 小阪憲司2 平安良雄1
所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2聖マリアンナ医学研究所
ページ範囲:P.515 - P.517
文献購入ページに移動辺縁系神経原線維変化認知症(limbic neurofibrillary tangle dementia;LNTD)は,臨床病理学的概念であり,病理学的に多数の神経原線維変化(neurofibrillary tangles;NFT)が辺縁系に出現するにもかかわらず,老人斑がほとんどみられない点を特徴とする。従来,欧米ではAlzheimer's variant of neurofibrillary tangleなどと称され,アルツハイマー型認知症(Alzheimer-type dementia;ATD)の亜型とされてきたが1),わが国では小阪ら5)や山田ら6)がATDとは異なる範疇でとらえ,それぞれLNTD,senile dementia of neurofibrillary tangle type(SD-NFT)と呼び,近年海外においてもこうした名称が使われることが多い。本疾患は連続剖検例中の約5%に認められ,神経変性疾患としては少なくない頻度でみられるものの,現時点では臨床症状や画像検査での確定診断は困難である。今回,病理学的にLNTDと診断された1症例を経験したので臨床経過と病理所見について報告する。
参考文献
掲載誌情報