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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻6号

2006年06月発行

文献概要

研究と報告

心因性精神障害患者のストレス自己管理のための個人用チェックリストにおける症状項目プールの作成

著者: 秋坂真史1 渡辺めぐみ2 志井田孝2

所属機関: 1宮崎大学安全衛生保健センター 2医療法人社団・温心会「こころと脳の研究所」

ページ範囲:P.643 - P.651

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抄録

 精神科診療所などでは,古典的な重度精神障害以外にも近年は心因性障害患者が増加し,精神科医が心因性精神障害とくに神経症圏や心身症患者を診る機会も多い。しかし患者に対し,薬物投与以外にストレス管理などの心身医学的対応も適切で十分かが問われる時代になってきた。そこで患者自身によるストレス管理のため多様な症状項目をプール化し,そこから患者が選ぶ方式が無理もなく効率的と考え,先行調査に基づき作成したストレス症状項目プールの種類と妥当性について検討した。その結果,健常者および患者の双方を対象にした調査で症状項目プールの妥当性を認め,245項目の症状からストレス概念を構成する14因子が抽出された。患者の自覚症状および疲労度の継続記録で,症状数と疲労度の正相関が明らかとなり,臨床現場での患者のストレス管理に有用である可能性が示唆された。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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